発達障害は天才ってイメージを持っている方は少なくないと思います。
実はアメリカでは障害×才能の教育が行われています。
発達障害と才能にはどんな関係があるの?
ギフテッドと2eって何が違うの?発達障害はみんなギフテッドなの?
才能教育にまつわる誤解やあまり知られていないことをわかりやすくまとめました。
参考文献にも上げましたが、松村暢隆さんのhttp://2e-education.org/2ewhat/#というサイトは非常にわかりやすくまとめてありますので、興味がある方はこちらをご覧ください。
- 2eとは「double exceptional」、才能(ギフテッド)と障害(発達障害)を持つ人のこと
- ギフテッドの特徴としてIQや勉強の優秀さだけでなく芸術やリーダーシップも才能となる
- ギフテッドは診断基準があるものではない
- 日本では進学校が実質ギフテッドや2eクラスになっている
2eとは何か
2eとは、twice-exceptionalの略です。直訳をすると「二重に例外」。
「才能・発達障害児」や「二重に特別な支援が必要な子供」と訳されることがあります。
簡単にいうと発達障害と才能(優れた能力:ギフテッド)を併せ持つ人たちのことです。
日本ではあまり知られていませんが、アメリカでは実際に2e教育が行われています。
どんな障害や才能が2eになるのか 診断基準
実は2eには統一された定義や診断がありません。一般的には以下のように言われています。
発達障害(凹)
一般的には学習障害(LD)、注意欠陥・多動症(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)などのいわゆる発達障害が当てはまります。
2eのプログラムでは発達障害の診断名は必須ではなく、必要であれば受けることができます。
ちなみにですが、自閉症スペクトラム障害は情緒学級に分類され、2eに当てはまらないこともあります。
(ちなみにこの情緒学級も通常学級より平均IQが高く、実質2eみたい・・・なんてこともあるようです)
才能(凸)
発達障害を持っている子供には、優れた才能を持っている場合があります。いわゆるギフテッドです。
これは、発達障害の特徴として元々能力に凹凸が出やすいためだとも言われています。才能部分は以下のような特徴があります。
- 数学
- 音楽
- 絵画
- 空間認識能力
アメリカでは才能教育(gifted education)がすでにあるため、才能を測る様々な検査があります。
ここでの基準は
- 知能
- 創造性
- 特的の学問
- リーダーシップ
- 芸術
のどれかで並外れて優れており、特別な支援が必要な場合に使われることが多いです。
日本ではギフテッドは「飛び級できるような賢い子」とだけ捉えられてしまうことがありますが、学びかたや学習能力、探究心など様々な面で特別な教育が必要な子だと捉える方が正確です。
ちなみに、才能や天才というとIQを思い浮かべる方が多いと思いますが、IQは2eの子供達でも様々です。全て平均を大きく上回る子供もいれば、苦手なことと得意なことの差が大きく、全体の点数は低い子もいます。
ギフテッドとの違い
ギフテッドは「才能のあるもの」という意味の英語です。ギフテッド教育に当てはまる人は全体の1、2割にもあたり、障害の有無は関係ありません。
一般にはウェスラー式知能指数が130以上とも言われていますがIQだけで測ることはできません。
天才と診断されるには?
「ギフテッドと診断される」「2Eと診断される」ということはありません。これは、発達障害と異なり共通の基準がないためです。
発達障害で2eに当てはまる人の割合
アメリカでは、2eに当てはまるとされるの割合は2%と言われています。
日本でも同じ割合の人が当てはまるとすると、発達障害を持つ人の3人に1人は2eに当てはまる可能性があります。
- 才能に気づかれるけど障害には気づかれない人
- 障害に気づかれるけど才能には気づかれない人
- 才能と障害のどちらも気づかれない人
以上の三種類がいると言われています。
特に発達障害は才能との相殺(障害の凹を才能の凸で埋める)ことが起きやすいので気づかれないんです。
ギフテッド・2e教育の大切さ
障害があると苦手な部分に注目がいきがちです。
しかし、その人の持っている得意な部分が苦手な部分を補うことだってできます。そしてそのチャンスが与えられることは、公平なことだと考えられているのです。そのため、個別的な教育が必要になってきます。
また、2eの子供たちは障害特性と才能特性の両方から生きづらさや問題行動が起きることがあります。
これは不登校などの二次障害に繋がる可能性もあり、注意が必要です。
発達障害ではないけれど才能がある問題児は?
中には、発達障害とは言えないけれどうまく適応できない子もいます。これが「OE」とも呼ばれる特徴です。(障害の名前ではありません。あくまで傾向です。)
才能特性ではなく、才能を持っている子が一緒に持っていることの多い特徴で、以下のように言われています。
- 好奇心が強く、よく考える。知的探索が好き。
- 感受性が豊で、共感や人・物への愛着がある
- 想像力が豊か。
- 衝動的で高い身体活動性を持つ
- 五感が過敏で、美的感覚が強い。
これらの特徴がこだわりや多動と捉えられ、発達障害の特徴ではないかと思われてしまうケースもあります。
特にADHDとの見分け方は難しいと言われており、問題になっています。中にはADHDと診断された人の半数は誤診だという報告もあります。
日本で才能教育は受けられる?
日本の公立学校では、2e教育やギフテッドクラスのようなものは行われていません。
しかし、日本の受験制度によって学力の高い子供たちは一定のところに集まります。そこが、自然と2e教育のような場所になっている可能性があります。
私の通っていた学校では、みんな発達障害みたいな特性持っていたなあって今考えると思います。
キャンパスの雰囲気もあるけれど、私たちの大学でも発達障害を持っている人・伸び伸び育った人が多い気もするよね
また、東京大学の「異才能発掘プロジェクト」など、学校外での学びの場もあるようです。
飛び級制度があるアメリカなどの国々。2e教育とは異なるけれど日本人でも卒業留学とかすると早期卒業や飛び級をできることもあります。
http://canada7.blog.fc2.com 日本人で14歳で大学に入った子のブログです。こちらも参考になると思います!
まとめ
才能教育や2eについてまとめました。
障害の凹の部分だけ注目され、支援の対象になってしまいがちな発達障害ですが、凸の部分に目を向けることでその人に新たな道に繋がることもあります。
一方、ギフテッド教育という言葉は曖昧で誤解も多く、実装されるには時間もかかりそうです。
参考文献
松村暢隆, 2E 教育フォーラム, http://2e-education.org/2ewhat/#, 2021.1.14.
松村暢隆, 2E教育の理解と実践, 金子書房, 2018.