一般社団法人日本CPサッカー協会にご協賛いただき、CPサッカー(脳性麻痺サッカー)元日本代表の堀井友哉さんをお招きした特別講演と、CPサッカーの普及方法について参加者全員で考える実践的ワークショップを開催しました。

CPサッカー元日本代表・堀井友哉さんによる特別講演
本シンポジウムの目玉となったのは、CPサッカー(脳性麻痺サッカー)元日本代表の堀井友哉さんによる特別講演です。
堀井さんは、ご自身の競技経験を通じて、CPサッカーの魅力と課題について語ってくださいました。異なる障害クラス(C5~C8)の選手が同じフィールドでプレーするという独特の競技構造、そこから生まれる戦術的な面白さ、そして選手一人ひとりの身体特性に応じたプレースタイルの多様性について、実体験に基づいた貴重なお話をいただきました。
また、CPサッカーがかつてパラリンピックの正式種目であったにもかかわらず、2020年東京大会以降除外されたことによる影響についても言及されました。最大の発信機会を失ったことで、メディア露出の縮小、資金調達の困難化、育成基盤の停滞といった課題に直面している現状が共有されました。
一方で、CPサッカーには障害理解を促進する大きな可能性があることも強調されました。「CPサッカーを知ることは、脳性麻痺という障害を知ることにつながる。そして、障害の多様性を理解することにもつながる」という堀井さんの言葉は、参加者に深い印象を残しました。
参加者からは「当事者の生の声を聞くことで、CPサッカーへの理解が深まった」「障害者スポーツに対するイメージが大きく変わった」「競技としての魅力と社会的意義の両方を感じることができた」といった声が多く寄せられました。
CPサッカーの普及方法について考える実践的ワークショップ

堀井さんの講演を受けて、「CPサッカーの普及方法について考える」をテーマとした実践的ワークショップを実施しました。

ワークショップの構成
ワークショップでは、医療・福祉分野で活動する若手研究者・活動家、一般参加者など、様々なバックグラウンドを持つ参加者が協力し、CPサッカーの普及に向けた具体的な方策を議論しました。
堀井さんの講演で共有された現状と課題を踏まえ、参加者は以下のようなテーマについて活発な意見交換を行いました:
1. 認知度向上のための具体策
- メディア戦略:SNSやドキュメンタリーを活用した共感型コンテンツの制作
- 教育機関との連携:学校での体験授業やオリ・パラ教育への組み込み
- プロサッカーとの連携:Jリーグクラブとのコラボレーション企画
2. 体験機会の創出
- 地域イベントでのデモンストレーション
- 一般市民が参加できる体験会の開催
- バリア体験を含むインクルーシブなプログラム設計
3. 多分野連携の推進
- 医療・福祉専門職との協働体制
- 理学療法士や作業療法士によるサポート体制の周知
- 地域スポーツクラブや福祉施設との連携
4. 文化的価値の創出
- 観戦や応援といった多様な関与形式の提案
- CPサッカーならではの戦術的面白さの発信
- 「学びとしての観戦」という新しい価値の提示
ワークショップで得られた具体的アイデア
参加者からは、以下のような具体的なアイデアが提案されました:
- 「CPサッカーの日」の制定:年に一度、全国各地で体験会やデモンストレーションを一斉開催
- 選手ドキュメンタリーシリーズ:YouTubeやSNSで選手の日常や練習風景を継続的に発信
- 学校訪問プログラム:選手が学校を訪問し、競技紹介と障害理解教育を実施
- 企業CSR連携パッケージ:企業の社会貢献活動として導入しやすいプログラムの開発
- オンライン観戦コミュニティ:試合のライブ配信と解説付き観戦会の定期開催
研究知見との接続
ワークショップでの議論は、本シンポジウムで発表されたCPサッカー普及に関する研究成果とも強く結びついていました。
研究では、一般市民50名へのインタビュー調査とテキストマイニング分析により、CPサッカーの普及に関する6つの主要カテゴリーが抽出されています:
- 体験型イベントによる障害理解の促進
- 教育・メディアによる認知の拡大
- 多様な関与と競技文化の創出
- 一般市民との接点と障害理解の深化
- プロサッカーとの連携による信頼性の強化
- SNSによる共感的理解を目的とした情報発信
これらのカテゴリーは、ワークショップで参加者が自発的に提案したアイデアと高い一致を示しており、理論と実践の架け橋となる貴重な機会となりました。
特に印象的だったのは、「メディア戦略」「体験機会の創出」「多分野連携」といったキーワードが、研究結果とワークショップの両方で中心的なテーマとして浮かび上がった点です。これは、CPサッカーの普及において、これらの要素が本質的に重要であることを裏付けています。
ワークショップから見えてきたCPサッカーの可能性
ワークショップを通じて、CPサッカーの普及が単なる競技人口の増加にとどまらず、以下のような社会的価値を持つことが改めて確認されました:
障害理解の促進 異なる障害クラスの選手が共にプレーする姿を通じて、障害の多様性を直観的に理解できます。堀井さんも強調されたように、CPサッカーを知ることは脳性麻痺という障害を知ることにつながります。
教育的価値 学校教育や地域イベントでの体験型プログラムにより、子どもたちの共生意識を育むことができます。ワークショップでは、教育現場での具体的な導入方法についても議論されました。
多分野連携のモデル 医療・福祉・教育・スポーツの各分野が協働する実践例として、他の障害者スポーツにも応用可能なモデルを提示しています。
地域包摂の実現 地域密着型の普及により、障害の有無に関わらず誰もがスポーツを楽しめる環境づくりに貢献します。
文化的価値の創出 観戦や応援といった多様な関与形式により、新たなスポーツ文化を創出する可能性を持っています。
協賛企業・当事者による多角的な評価と表彰
本シンポジウムでは、一般社団法人日本CPサッカー協会をはじめ、QWS、ゼネラルパートナーズ、トグルホールディングス、ゼブラアンドカンパニーの協賛企業4社から企業賞が、そして障害当事者の方から当事者賞が贈られました。
日本CPサッカー協会からのご支援
一般社団法人日本CPサッカー協会には、本シンポジウムの開催にあたり多大なるご支援をいただきました。CPサッカーの普及と発展に尽力される協会様のご協力により、若手研究者・活動家に貴重な発表の場を提供することができました。
協会様の医療・福祉分野における若手育成への深いご理解とご協力に、心より感謝申し上げます。
多角的な評価の実現
参加11団体それぞれの活動の独自性や社会的意義を、企業の視点と当事者の視点の両方から多角的に評価し、応援と表彰が行われました。
この取り組みは、若手研究者・活動家の活動を企業と当事者が一体となって支えていく姿勢を示すものとなります。
ワークショップから始まる新たな一歩
今回のシンポジウムでは、堀井友哉さんの講演を起点に、CPサッカーの普及方法について参加者全員で深く考える機会となりました。
ワークショップで提案された具体的なアイデアは、今後の普及活動の重要な指針となります。研究で明らかになった6つのカテゴリー(体験型イベント、教育・メディア、多様な関与、一般市民との接点、プロサッカー連携、SNS発信)が、参加者の自発的な議論からも導き出されたことは、これらの要素がCPサッカー普及の本質であることを示しています。
堀井さんが語られたように、「CPサッカーを知ることは、障害を理解することにつながる」。このメッセージを胸に、医療・福祉分野の若手研究者・活動家、そして一般参加者が、それぞれの立場からCPサッカーの普及に貢献できる道筋が見えてきました。
本シンポジウムは終わりではなく、CPサッカーの新たな普及の始まりです。ワークショップで生まれたアイデアを実践に移し、共生社会の実現に向けて歩みを進めてまいります。
ご協賛企業の皆様へ感謝
本シンポジウムの開催にあたり、一般社団法人日本CPサッカー協会様から多大なるご支援をいただきました。
日本CPサッカー協会様には、CPサッカーの普及と発展という共通の目標に向けて、継続的なご支援とご協力をいただいております。協会様の障害者スポーツにおける若手育成への深いご理解により、研究成果を実践へとつなげる貴重な機会を得ることができました。
また、障害当事者の方々からも当事者賞という形でご支援をいただき、より多角的な評価と励ましの場を実現することができました。
今後も産業界、当事者、そして若手研究者・活動家が協働し、医療・福祉分野の課題解決、そしてCPサッカーの普及を通じた共生社会の実現に取り組んでまいります。